日本製紙株式会社

弊社は紙・板紙等を製造している製紙会社ですが、昨今、木材やパルプ等のバイオマス素材を最大限に生かすためセルロースナノファイバー（CNF）の研究開発に注力しています。CNFはパルプに軽度の化学処理を行いナノレベルまで解繊した極細の繊維で、再生可能なバイオマス素材です。ＣＮＦの原料となる木材は、当社で管理する植林地で育てており、伐採後は再度木を植えるサイクルを続けて育てているため、持続可能な社会に貢献できる材料であると考えています。
弊社ＣＮＦ製品「セレンピア®」は食品・化粧品やゴム・樹脂に代表される工業用途など多岐に渡ります。その中で食品向けＣＮＦは幅広い食品分野に利用されており、増粘用途ではネバつきにくく低曵糸性（ていえいしせい）であるため、後味がすっきりしたクリームができたり、CNFを添加する事でコシのある麺が出来上がったりします。また保水性も特徴の一つで、どら焼きの生地に含ませてふっくらしっとりした食感にさせたり、冷凍の水産加工物に利用して解凍時のドリップを防いだりすることができます。食品分野では特にパン用途で採用が増えており、ＣＮＦを添加すると生地を練っている段階でまとまりが出て、水分をたくさん加えたパンでもふっくらと焼き上げる事ができ、柔らかくおいしい食感のパンが出来上がります。また保水性が高いと長期間保存した際に食品が乾いて食感が変わると言った事も少ないため、食品の賞味期限を延ばせるようになった食品もあり、フードロス削減にも寄与できると考えています。
採用は進んできているものの食品用の機能性材料としては比較的新しい素材であるため、今後もＣＮＦと食のコラボレーションを促進していきたいと考えています。