国立特定研究開発法人理化学研究所は、我が国唯一の自然科学の総合研究所であり、原子力からウイルスまで幅広い分野を取り扱っています。AOI-PARC内の研究室は理化学研究所光量子工学研究センターに属しており、「光を使って見えないものを見えるようにする」ミッションのもと、農業をより良くしていく研究を行っています。静岡県をモデルとした「未利用資源利活用プロジェクト」もその一つです。この静岡モデルは、静岡県の豊富な資源を活用し、これまで失われていた有機資源を農業生態系へ循環させるための仕組みです。我々は計画を練り、静岡県先端農業推進室やオールAOI-PARC、県内各地にいる生産者の方々と共にプロジェクト拡張に取り組んでいます。現段階では我々が参画している国の「ムーンショットプロジェクト」の一部を活用し、AOI-PARCの理化学研究所の目玉の技術となる「次世代栽培実験装置」を使って、汚泥からリンを回収し肥料として再生できないかを実験しています。2025年度中にリン回収の技術をある程度確立していく予定です。廃棄物から有用物を作り、環境負荷を軽減しつつ農業を持続可能にするのは、科学を技術にトランジションする活動で大変やりがいがあります。この計画を静岡から全国、さらには世界へ届けたいと考えています。
全自動で環境をモニタリングできる次世代栽培装置。