光触媒の驚異的な
鮮度保持、水の浄化。

カルテック株式会社
代表取締役社長 染井潤一

2025.03.25

2020年10月、光触媒による一定空間中の新型コロナウイルスに対する不活性化を実証し、一躍名を上げたカルテック。2025年現在、新たに取り組むのは光触媒による農産物の鮮度保持、そして水の浄化です。光触媒の驚異的な可能性について詳しく伺いました。

写真:資料「クリーンな環境づくりの実現」

光触媒は今、新たなフェーズへ

カルテック株式会社は、光触媒技術を応用した製品を手がける企業です。光触媒技術は高い酸化力で有機物を分解しつつ、空気中にオゾンや次亜塩素酸等の有害物質の放出がない、安心・安全な日本の技術です。コロナ禍の数年間で、当社の光触媒技術を駆使した空気清浄機が大ヒットしましたが、2025年の現在、加えて陸上養殖用水の浄化や、農産物の廃棄ロス削減、鳥インフルエンザ等の家畜の伝染病の予防など、幅広く新たな分野に真摯に取り組んでいます。起業以来、エビデンスに基づき、軸を「水・空気・食」に置いていることに変わりはありません。

腐敗低減効果を実証

光触媒の技術を用いた食への取り組みの一つに、農産物の鮮度保護システムがあります。北海道の農業団体の協力を得て行なったカボチャの実証実験では、試験冷蔵庫に光触媒除菌脱臭機を設置、隔2週間でカボチャの腐敗状況を調査しました。その結果、14週間後には未設置の貯蔵庫の正品率(※1)26.7%に比べ、設置した貯蔵庫では約2.6倍増加の正品率70%と高い値となり、さらに貯蔵庫内の臭い(ガス)の抑制、浮遊菌が低減する可能性を得ることができました。

(※1)そのまま店頭に並べられる良品な物「正品」の残存率

写真:「北海道農業団体共同かぼちゃ鮮度保持試験」資料

光触媒の技術は、農産物生産者の「収穫~出荷の課程で、熟成、カビや菌等による廃棄量を減らしたい」、「季節物の青果物などで、出荷時期からずらし、kg単価を極力上げたい」、「非常に多くの収穫量を扱い、出荷作業下でのニオイを抑えたい」、そんなニーズに応える技術です。

光触媒の水への応用

私が起業を決意したのは、10数年前、出張先のスリランカで生活用水の農薬汚染問題を目の当たりにしたことから。光触媒で「救えるいのち」があるという思いが、「水」への応用展開の強い動機となっています。光触媒は水を浄化します。東京大学との共同研究ではレジオネラ菌の殺菌とエンドキシンの分解に成功しました。また別のアンモニア分解実験では、約30分で50%以上を分解する結果が出ています。

当社が開発した光触媒材料と廃ガラスから誕生した発泡ガラス光触媒「Pure Sol」は金平糖のような見た目で比表面積が大きいため、太陽光やLEDライトによく反応し、驚異的なスピードで水を浄化します。災害時や養殖事業の浄水などに展開できる、非常にニーズのある製品だと自負しています。

写真:資料

カルテック株式会社

2018年、総合電機メーカーにいた8人が創業メンバーとなり事業を開始。企業理念に「『光触媒』で水、空気、食物をデザインする。」を掲げ「空気と水の浄化」に対応する製品を発信している。創業以来、常に話題性のある製品リリースが続く有力なベンチャー企業。

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