長泉メロンの栽培に乗り出したきっかけは何ですか?
大静テクノ(株)取締役社長 白砂伸之さん
「回収したガスを有効活用しようと思い、社内で検討したところ、施設園芸で利用したらどうかという案の中で、長泉町の特産品である長泉メロンはどうかということになりました。長泉町に相談したところ、もともとは8軒で始めた長泉メロン農家が、今では2軒まで減ってしまった。今後特産品がなくなってしまう可能性があるため生産してもらえると助かるという話をいただき、長泉メロンの栽培を始めることになりました。」
水耕栽培にはどのような利点がありますか?
「メロンは連作障害※がおこる植物なので、現在の長泉メロンは土耕栽培のため、夏収穫の一作のみとなっています。それに対して、当社では年間通してメロンをずっと作り続けられる水耕栽培(養液栽培)を行っています。水耕栽培では土を使わず、土を耕す必要がないため、トラクターなどの重機が一切いらないというところもいい点です。」
※連作障害(れんさくしょうがい)
同じ作物を繰り返し同じ土壌で育てると、その作物が育たなくなってしまうこと。
今後農業にはどうなっていってほしいですか?
「個人的な考えとしては、企業でやるものと農家さんでやれるものとでだんだん棲み分けができてくると思います。企業だと大規模にシステムを導入し、工場生産のような考え方で作物を効率的に作り、農家ではそれが難しい作物を作っていくようになると思うので、機械化できる部分は企業が進めていった方がいいんじゃないかなと思います。」
ビニールハウスにつながった管から点滴のように養液を垂らし、養分を与えたりするのを、メロンが何MJ(メガジュール)日を浴びたかを計測して養液管理するなど、メロンの品質管理を写真の機械を組み合わせて行っている。
この機械により、スマートフォンでメロンの栽培状況を知ることができ、ビニールハウス内の環境を管理することもできる。
<管理できるビニールハウス内の環境データ>
・温度
・湿度
・飽差(ある温度と湿度の空気に、入る余地のある水蒸気量を示す指標)
・光合成
・二酸化炭素濃度
・培地水分量 など
取材を終えて
今までは、農業は手作業が主流だと思っていましたが、今回取材をさせていただき、機械で管理し、効率的に生産する農業も広まりつつあることを知りました。大静テクノでは、研究と改善を繰り返し、栽培に関するデータを活用して技術力を向上させています。長泉メロンの名が県内に広まるのもそう遠くないと思いました。■