食卓に上がる農畜産物をもっと身近に

〜「食育DAYキャンプinぬまづ」レポート〜

written by 小高 朋子

2018.08.22

平成30年7月31日、市内の小学5・6年生を対象とした「食育DAYキャンプinぬまづ」が開催されました。プログラムの一環としてAOI-PARCでは、株式会社増田採取場の増田秀美専務をお迎えし「アブラナ科野菜のおはなし」をご講演いただきました。

身近にあるアブラナ科野菜の仲間たち

株式会社増田採種場は、93年前からアブラナ科野菜の品種開発をしている種苗メーカーです。キャベツの歴史が長く、農林水産副大臣賞を5回受賞。1990年には機能性野菜の先駆けプチヴェールの開発に成功しました。日本で最初にケールを品質登録した会社でもあります。また、さまざまな企業との商品開発も行っています。
普段よく目にするキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ケール、メキャベツなど、これらはすべてアブラナ科の仲間になりますが一体何が一緒なのでしょう。その秘密は、花の形や種にあるようです。ケールはアブラナ科の仲間たちの最初の原種とされ、キャベツやブロッコリーはケールから分化して誕生したそうです。増田さんの「ケールって聞いたことある?」との質問に、子供たちからは「知ってるよ。食べたことある!」と元気な声が聞こえてきました。

講演する増田専務取締役

品種開発と種子の役割とは

アブラナ科の野菜は、春に花を咲かせ交配し6月ごろに種がつきます。種はミツバチによる交配、人の手による交配がされます。その種子には、大きく5つの役割があることが分かりやすく説明されました。
1つは、生産性の安定。病気に負けない「耐病性品種開発」により、生産性を向上させることです。その功績が認められ、東京都に「甘藍(キャベツ)の碑」が建立されたという話には驚きの声が上がりました。また、寒さに強い品種を開発したことで、通年栽培が可能となり生産者の利益向上にも繋がりました。
2つは、栽培環境に適した品種の開発。ハウス栽培、露地栽培、光量の違いなど、多くの環境要因によって植物の生育状況は変わります。現在、さまざまな環境に適した品種の研究がAOI-PARCで行われています。
3つは、おいしさの追求。水分がありシャッキリとした感触と糖度のバランスが良い「とくみつ」など、おいしさで勝負を仕掛けます。JA遠州中央の「遠州天使のキャベツ」や「東京スイーツ」など、 各地域のオリジナリティを伝える素材として活用が進んでいます。ある地域では結婚式で、キャベツの甘さを生かしケーキカットならぬ「キャベツカット」が行われた事例も紹介され、子供たちだけでなく付添の大人からも驚きと笑いの声で盛り上がりました。
4つは、機能性の追求。ケールと芽キャベツをかけ合わせたプチヴェールは、甘みがあって美味しいだけでなく栄養価も優れたスーパー野菜として注目を集めています。2013年にしずおか食セレクションにJAなんすんがエントリーし認定されています。プチヴェールをはじめとした同社の野菜は、カゴメの野菜飲料に多く使用されています。子どもたちはよく目にする野菜飲料に使用されていたことを知り、アブラナ科野菜をより身近感じたようです。
5つは、用途にあった品種開発。同社はオタフクソースと共同で、お好み焼き用キャベツを開発しています。季節ごとに異なる品種で、葉肉が厚く蒸すとホクホクとした食感を追求したといいます。

開発商品の数々

食べて知る品種開発の魅力

また、美味しく手軽なスーパーフードとして、様々な品種開発にも取り組んでいます。今回は試食メニューとして、大きくて葉の硬いケールを食べやすく改良した「ソフトケール」を使用した「ソフトケールの粉チーズサラダ」「ソフトケールのおにぎり」「ケールジェラート」が提供されました。
子どもたちは「おいしい」「これなら食べられる」などと言いながら、あっという間に完食。特にケールジェラートは人気で、「どうやって作るの。家でもつくれる?」などと積極的な質問があがりました。作り方は「ケールジュース」と市販のバニラアイスを2:1で混ぜるだけとのこと。その手軽さも大いに喜ばれました。試食を通して、これまで苦い・硬いなどのイメージがあった野菜も、品種開発によって美味しく食べやすくなることを体感できたようです。

試食メニュー

講演の最後にはお土産のケールが配られました。もっとたくさん食べたいと、嬉しそうに受け取る子どもたちの顔が印象的でした。配られたケールは午後のプログラムで行われた「カレー作り」に使用され、栄養満点のおいしいカレーになったようです。

ふじっぴーも来ました

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