日本一のブロッコリー農家を目指して!

〜「食育DAYキャンプ in ぬまづ」レポート〜

written by 小高 朋子

2019.08.16

令和元年8月6日、去年に続き、今年も市内の小学5・6年生を対象とした「食育DAYキャンプ in ぬまづ」が開催されました。全部で5つあるコースのうち「浮島Aコース」の11人の小学生が、AOI-PARCを訪れました。AOI-PARCでは、株式会社アイファームの池谷伸二代表取締役と成田美幸氏をお迎えしご講演いただきました。

食材の王国・静岡県でAOIプロジェクトが目指すもの

AOI機構 岩城 専務理事兼事務局長

はじめに、AOI機構 岩城 専務理事兼事務局長よりAOI-PARCについて、説明がありました。

静岡県は暖かい気候のため、お茶や果樹、野菜など、たくさんの農産物が獲れる食材の王国です。また、ものづくりが盛んで多様な技術やアイデアを出し合える環境が整っています。さらに、健康寿命が日本一の県でもあります。これらの強みを生かして「農業に新しい技術を取り入れて、おいしく身体に良い食べものをつくり、元気で健康的に暮らし、長生きできる社会をつくろう」というのがAOIプロジェクトの目指すものです。
「夏といえばスイカの季節ですね。でも、光や温度、湿度など環境条件を研究することで、寒いところでも甘くておいしいスイカが栽培できるかもしれません。また健康状態に合わせて、一人ひとりのためのオーダーメイド野菜を作ることも、夢のような話ですが夢ではありません」と身近な例を用いて、岩城氏は子ども達の理解を促しました。
続いて、おいしくて健康に良いものを作り出す農家の事例として株式会社アイファーム成田美幸氏の講演に繋ぎました。

農業をやりたいと思える産業にするために

株式会社アイファーム 成田美幸氏

株式会社アイファームでは、「日本一のブロッコリー農家を目指して!」を合言葉にブロッコリーを育てています。畑の面積は50 ha、約400箇所で栽培しています。2008年に0.3 haだった生産面積は、2019年の計画では90 haと25メートルプール3000個ほどまでに拡大しています。
従来の農業では土作りから出荷調整までのすべての作業を一人で行うため、1品目の栽培を年に1回しか経験することができません。そこでアイファームでは作業を分業することにより、短い時間で専門知識や高い技術を身につけることが出来るように工夫しました。その結果、作業時間の短縮、耕運技術の安定、事故率の低下、出荷作業時のケガの減少など多くの効果が得られました。
「“次の世代に繋げられる農業”と“農業をやりたいと思えるような産業”にすることが目標です」と、成田氏は子ども達に向けてのメッセージを強く語りました。
台風などの天候被害によるリスクに左右されない農業を目指し、データ化やマニュアル化を行い、経験を数字として残すことで未来に繋げる取り組みを行なっています。

次世代に繋げられるような農業の実現にむけて

新鮮なブロッコリー

安定した利益確保の実現のためには、契約栽培で販売することで量と値段を安定させること。また、他にはない魅力あるブロッコリーの開発を行うため、AOI-PARCに入居し研究を行っています。具体的には、栄養成分の高いブロッコリーの開発や、台風に強い農家になる為の研究、おいしく食べられる保存方法などを研究しています。
「アイファームの栄養成分がたくさん入ったブロッコリーを食べることで、みんなに健康になってもらいたい。みなさんに喜んでもらえるブロッコリーを作ることで、長く安定した経営が出来るようになります」と説明しました。
機能性ブロッコリーの開発については、サプリメントではなく食事を楽しみながらスルファラファンがとれるようにしたい。健康に良さそうだから…ではなく、栄養成分・効果を考える時代がくる。との思いを語りました。
スルファラファンとはブロッコリーなどに多く含まれる物質で、ピロリ菌の増殖に対する抑制効果や肝機能の改善、抗酸化力を高める効果などが認められています。現在、AOI-プロジェクトで機能性表示食品の届出を進めています。もし、受理されると生鮮品ではスルファラファンの機能性表示食品の事例がなく、国内初の届出になります。

おいしく食べて、クイズで楽しく学ぶ

ブロッコリーを観察する参加者

講演のあとは、ブロッコリーが1株ずつ配られクイズが行われました。子ども達は、新鮮なブロッコリーを手に取ると、改めてじっくりと細かなところにまで興味を示しました。ブロッコリーを観察しながら、10問の3択クイズが進められました。
1日に収穫するブロッコリーの本数は、多い時期には15,000本ほどであるとの解答に、「そんなに多いの!?」と驚きの声が上がりました。また、ブロッコリーの仲間の野菜は?のクイズには、「みどり色だから、きゅうりやかぼちゃ!」との答えがあがり、キャベツや大根の仲間との解答に、「不思議!」と首を傾げるシーンもあり、身近な野菜への興味が深まったようです。質問タイムには、農家さんの年収に対しての質問もあがり、農業経営にも関心が向けられたようです。

ブロッコリーを使った料理の試食

講演が終わると、試食が行われました。試食メニューとして、ブロッコリー入りのおにぎりと卵焼き、ブロッコリーソースをかけたサラダチキンとチーズが配られました。鮮やかなグリーン色が食欲をそそります。ブロッコリーが苦手と言っていた子どもも、あっという間にきれいに食べていました。
アンケートでは、「普段はそのままでしか食べないので、アレンジ料理がとても良かった」、「いろいろな栄養素があり病気の予防にもなることを知ったので、もっと食べたい」などの意見があがりました。
最後に、午後のプログラムで行われるカレー作り用に箱いっぱいのブロッコリーと、自宅へのお土産用に1株ずつ持ち帰りが配られると、「今日もお家でブロッコリーが食べられる!マヨネーズと混ぜて食べるんだ」などと喜びの声があがりました。はじめは大人しかった子ども達も、満面の笑みで午後のプログラム会場へ向かいました。□

笑顔で次のプログラムに向かう参加者とふじっぴー

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