パートナー発見と視野拡大の場となった交流会

〜AOI Meet up Vol.2レポート〜

written by AGRI JOURNAL編集部

2019.01.22

2018年12月14日、静岡県コンベンションアーツセンター「グランシップ」にて、AOIフォーラム会員限定交流イベント「AOI Meet up Vol.2 ~事業連携パートナー発見の場~」が開催されました。研究者、生産者、企業の企画担当者など、さまざまな肩書きをもつ人々が総勢33名集まり、意見を交換。新たなビジネス創出をも予感させる、実りあるイベントとなりました。当日の様子を、参加者のコメントを交えつつレポートします。

“広くイノベーションを起こしたい”という思いから、再びの開催へ

お互いの事業内容や思いを知ること、ビジネスマッチングを図ることを目標に掲げ、2018年9月7日に第一回目が開催された「AOI Meet up」。AOIフォーラムの会員限定で行われる同イベントが開催されるのは、今回で二度目となります。
「自社の技術や資産が、農・食産業において有用か否かを議論したい」、「異業種の人と結びつくことで、自社の抱える問題の解決策を見つけたい」など、参加の目的はそれぞれです。

当日のプログラム

15:00~ イントロダクション
15:10~ 参加者自己紹介
15:25~ ディスカッションプログラム
(テーマオーナースピーチなど)
16:40~ アイデアディスカッション
17:40~ フリータイム(フード提供)
18:20~ フリートーク
18:40~ クロージング

さまざまなカードを駆使し、ビジョンを可視化

今回の参加者は、事前のヒアリングをもとに、A〜Dチームの4つのチームに分けられました。それぞれのチームのディスカッションテーマは、以下の通り。

【Aチーム】農作物への各種センシング技術の応用と利活性の「現在」と「未来」について
(テーマオーナー:株式会社イージステクノロジーズ/茅野修平さん)

【Bチーム】名産物を作るためのブランディング戦略とは
(テーマオーナー:ストロベリーグアバ農園/高橋長一さん)

【Cチーム】作物の付加価値向上を目指すためのエビデンスに基づいた開発アプローチ
(テーマオーナー:株式会社キコーコーポレーション/関口徹さん)

【Dチーム】異常気象に強い生産技術と対策によって天候影響による減収リスクを軽減
(テーマオーナー:株式会社アイファーム/池谷伸二さん)

「AOI Meet up」の冒頭、司会を務めた「ロフトワーク」の中川ディレクターは、チームごとのディスカッションやその後の発表を通じ、パートナー発見やさまざまなビジネスマッチングを図ることが、今回のAOI Meet upの目的であると説明しました。
また、チームがディスカッションするスペースには、テーマオーナーが記入した「オーナーカード」、各々のメンバーが記入した「ウィッシュカード」と「アセットカード」が事前に張り出され、ディスカッションの途中ではアイデアを記入する「アイデアシート」も配布されました。

オーナーカードのサンプル。各オーナーの企業ですでに達成されていること、今回のディスカッションで主に話したい内容が書かれている。

ウィッシュカードのサンプル。オーナーカードの内容を踏まえたうえで、メンバーがディスカッションしたいと考えた事項や、抱える課題、今後やりたいことなどが書かれている。

アセットカードのサンプル。メンバーがすでに持っている技術や資産が記されている。

アイデアシート。ディスカッションを通して得たアイデアを、それぞれがアイデアシートに記入する。アイデアシートは、メンバーの思考の整理や考えたことの可視化をサポートし、ディスカッションを具体的かつ深いものにするシート。

中川ディレクターは、パートナー発見やビジネスマッチングを図るうえで、オーナーカード、ウィッシュカード、アセットカード、アイデアシートが役に立つと話します。「ディスカッションの方向性やそれぞれの希望、資産、そして新たなアイデアを可視化したこの3つのカードと1枚のシートが、活発な議論やビジネスマッチングなどのきっかけになるはずです」。

チームごとに分かれ、さらに情報共有。そして、アイディア創出へ

チームに分かれ、まずは自己紹介とテーマオーナーによるスピーチが行われました。その後、ディスカッションテーマに対する自社のアイデア、活用できそうな技術を、各々のアセットカードとウィッシュカードを使って紹介していきます。
それぞれが持つ資産と課題が明確になったところで、アイデアディスカッションへと移行。それぞれのアイデアや技術を深掘りするための質疑応答があったほか、ビジネス創出の可能性を探るやりとりが見受けられました。
それぞれのチームのブースには事前に、オーナーカード、ウィッシュカード、アセットカードがボードに一覧で張り出されていたため、メンバーは自身と同じチームの人がどのような意見や技術、資産を持っているか、あらかじめ知ることができました。そのため、初対面にも関わらず、深い質疑応答やディスカッションへとスムーズに移行できたようです。

例えば、「農作物への各種センシング技術の応用と利活性の「現在」と「未来」について」をテーマとしたAチームでは、テーマオーナーであり、極小型汎用センシングデバイス「Logger One」の設計、開発などを手がけるハイテク系ベンチャー、株式会社イージステクノロジーズの茅野修平さんが、ビジョンに対して自社ができていることや現状足りていないことなどを冒頭で説明。センシング技術(専用デバイスからのデータ採取)の設計、開発や画像の分析技術(観察、監視、分析ほか)の提供などが達成されているのに対し、圃場でのエビデンスの蓄積やセンシング技術の活用における実績の不足などが問題点としてあることを明かしました。

また、メンバーからの「茅野さんが開発されたセンシングデバイスを使うと、どんなことがわかるのですか?」、「開発にあたり、資金面ではどのような工夫をしましたか?」といった質問への回答を通し、さらなるアイデアの共有がなされました。

その後、メンバーそれぞれが自社の技術や課題を発表。うち一人の八木大輔さん(株式会社村上開明堂)は、同社が国内でシェアナンバーワンのバックミラーの製造・販売会社であることを説明。また、開発中のバググラス(同社登録商標の発泡ガラス)に関して、パートナーとの共同開発を通じ、畜産における水質汚染や臭気の問題を解決したいと、今後の事業展開について語りました。それに対し、茅野さんがガラス繊維でできたフィルターの存在を教示したうえで、同社が畜産業界に参入できる可能性が大いにあることを示唆するなど、活発なアイデアの交換が行われました。

適宜、カードにアイデアを記した付箋を貼ったり、カードの位置を移動したりすることで、アイデアを項目分けするとともに可視化します。これにより、さらにメンバーの思考が整理され、議論がより深いものへと発展したようです。

休憩後、メンバーは各々、アイデアシートに記入をします。
アイデアシートがボードに張り出され、メンバーの考えていることやアイデアが可視化されると、ディスカッションはより具体的かつ活発なものとなりました。

アイデアシートが張り出されたことをきっかけに、フリーディスカッションに移行したチームも。特に注目が集まったアイデアシートを前に、自由闊達に意見が交わされました。

新たな事業の創造や問題解決の糸口に

それぞれのチームによるアイデア発表が行われたのち、フリータイムへ。同時に、地元のイタリアンレストラン「ロザート」が手がけたフードもふるまわれました。フードの食材となった野菜のなかには、今回の交流会にも参加した株式会社アイファームのブロッコリーや、株式会社キコーコーポレーションの黒トウモロコシ、ストロベリーグアバ農園のグアバジャムを使ったものも。おいしいフードと飲み物により、さらに場の空気がカジュアルになり、チームを超えた会員同士の交流もいっそう活発になりました。

グアバジャムとマスカルポーネ紅ほっぺのプチケーキ

ブロッコリーの漬物

黒トウモロコシのクッキーとグアバジャム

テーマオーナーを務めた株式会社アイファームの池谷伸二さんに、イベントを終えた感想をたずねると「想像以上に大きな収穫があった」との答えがありました。「今年は台風が多く、うちで育てているブロッコリーがほとんどやられてしまったんですね。来年は何か対策をしなくてはと思い、ヒントを求めてこの会に参加しました。大学の教授や研究者といった、普段お会いする機会のない方々からアドバイスをいただけたうえ、異業種の方と新たな仕事ができる可能性も見えました」。今回のミートアップで意見交換をした東海大学と、パートナーシップを築ける可能性が生まれたそう。パートナーシップの確立に向け、これから具体的な打ち合わせを行うと明かしてくれました。
ほかの方々からも、「視野が大きく広がった」「次回もぜひ参加したい」といった感想が聞かれました。
これらを通じたパートナー発見の場となった、AOI Meet up。次回の開催を心待ちにしている会員も、多くいるようです。

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