AOI Meet up Vol.4

AOI フォーラム会員交流会 レポート

written by 小高 朋子

2021.02.02

令和2年12 月15日、プラサヴェルデにて「AOI Meet up Vol.4」が開催されました。本会では、AOIフォーラム会員相互の交流からオープンイノベーションのきっかけを提供することを目的とし、20会員にご参加いただきました。
この度の新型コロナウイルス感染症の発生状況を踏まえ、参加者数を限定しての開催となりましたが、募集後すぐ定員に達したことからも、オープンイノベーションの機会の重要性を強く感じる会となりました。

相互理解を深めるプレゼンテーション

会員によるプレゼンテーション

本プログラムでは、各参加会員による5分間のショートプレゼンテーションを行い、自社の事業紹介や自社の持つ技術・資産等の紹介(シーズ)、自社に足りず求めている技術・資産(ニーズ)を発表していただきました。
自社の技術やアイデアをもとに、新しい商品やサービスを生み出す可能性を探り合います。互いに抱える問題に対して解決方法をみつけ、創造のきっかけを生みだすことが目的です。
それぞれの会員による、独自の取り組みや研究事例などが紹介され、外部の知見やアイデアを取り入れることのできる貴重な時間となりました。今回は、発表が行われた20会員の中から、業種の違う4会員をご紹介いたします。

「株式会社千代田組」は、産業・社会インフラ基盤の構築を下支えしながら、SDGsの視点に立った農・食・文化・再生エネルギー等に向けた機器・サービスの提供など、新しい価値の創造への取り組みにも踏み出しています。具体的には、ソーラーシェアリングやビニールハウスのひかり屋根化、スマート農業による人手不足・重労働軽減・フードロスの解消による地域活性の推進のための「農業ロボット」や「ピューレプラント」、地域の特産物の良さを活かし継承の共創をする「サフラン事業」や「生ポップ事業」など、新たなビジネスマッチングに取り組んでいます。地域活性化に向けた商社ならではのコーディネーターとして、自然と文化の継承並びに農業就労者の雇用を、一緒に考えていただける協業・共創パートナーを見つけていきたいとのことでした。

「焼津水産化学工業株式会社」は、天然素材にこだわった、液体調味料・粉体調味料・乾燥加工食品や機能性素材の製造を行っています。例えば、カニなどの魚介類を中心とした天然素材から抽出・精製・乾燥した成分は、食品分野で健康食品、化粧品分野でスキンケア化粧品、農業分野では肥料など に機能性を付与する素材として活用されます。低分子量キチン(通称:LMC)やキチンオリゴ糖を暑さなど環境ストレスに対して耐性を向上させるバイオスティミュラント素材(生物刺激剤)として広く普及させたく、現場の課題や素材の評価を探りながら、これらの素材を用いた農業資材を一緒に開発できる企業とのマッチングを希望しています。

「沼津開発興業株式会社新沼津カントリークラブ」は、ゴルフ場に対する、森林破壊や大規模な開発というような負のイメージや、利権に関わるトラブルなどのダーディーなイメージを払拭すべく、ゴルフ場の社会的貢献度をあげる取り組みを行っています。地域の産業廃棄物を土壌中の微生物の働きによって無機物化することで、ゴルフ場のコース管理に利用するなど、環境循環型の有機農法的な芝草栽培を目指しています。環境循環型経営、産業廃棄物の利用などに興味のある方は、ぜひ声をかけて欲しいとのこと。

「株式会社森島農園」は、米、小松菜、ほうれん草、露地野菜の生産、米加工品製造・販売など複合経営を行う農業生産法人です。2019年より、営農50年で培った技術を応用した、生で食べる小松菜「サラダ小松菜ぷち」の栽培を開始。女性や高齢者でも管理しやすい環境づくり、農家の利益につながる商品づくり、新しい小松菜の食べ方の提案にも取り組んでいます。また、栄養成分分析の実施、AOI機構と共に栽培環境の見直しや、生鮮葉物野菜の機能性表示食品登録の実現に向けての研究も行っています。主な課題に、商品力の強化、利益の確保、新規販路の開拓などが挙げられ、自社の抱える弱みに対してご協力をいただける企業を探しておられます。

課題解決に向けての自由交流

積極的な交流が行われました

ショートプレゼンテーションの後は、会員間の親睦をより一層深いものとしていただくための自由交流会の時間をご用意いたしました。これまでは、会員の商品や食材を紹介する目的も含め、食事をご提供する場となっていましたが、時勢柄、残念ながら飲食を含まない交流会となりました。

幾つかの会員からはサンプル商品も提供いただきました。

「株式会社アイファーム」からは、自社栽培の「ブロッコリー」を提供いただきました。同社では、ブロッコリーに含まれるスルフォラファンの高含有化に取り組んでいます。スルフォラファンには、ピロリ菌の抑制や肝機能の改善などが認められています。

先にご紹介した「株式会社森島農園」からは、「サラダ小松菜ぷち」を提供いただきました。加熱せずに生で食べられる柔らかい小松菜です。これまで主役になりにくかった小松菜に光を当てるだけでなく、女性や高齢者の雇用に取り組んだ商品となっています。

「株式会社トライ・カンパニー」の「キャッチクリン」は、保冷材製造で培った技術を基に、二酸化塩素を簡易に発生させることのできるウイルス除去・空間除菌・悪臭除去の商品です。
2020年11月より発売を開始したばかりの新商品です。

提供されたサンプルの数々

交流会は、ショートプレゼンテーションで興味を得た会員同士の交流が積極的に進められ、有益な情報や人を相互に紹介し合う場となりました。参加会員からは、「これまで、考えてもいなかった人(企業)との交流を得て、新しい可能性を感じることができた」、「各会員企業のプレゼンテーションを聞くだけでも勉強になった」との好意的意見がある一方、「もっと多くの生産農家の参加を期待していた」、「農業現場の意見が欲しい」など、今後の課題となる意見もいただきました。
最後に、AOI機構理事長の藤井明氏からの「本会で、チャンスや可能性を少しでも感じられた方は、ぜひ挙手を願います」とのお願いに、多くの参加者の手が挙がりました。藤井氏は「コロナの状況が落ち着きましたら、オープンイノベーションのチャンスの場をより一層つくっていきたい。あらゆる可能性を相互に探す活動を深めていきたい」と、会を締めくくりました。

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